セキュリティアクションとは?一つ星・二つ星の違いと中小企業が取るべき実践ステップ

セキュリティアクション

📝 S&Hパートナーズ株式会社 代表|公的機関でのサイバー攻撃対策業務 約20年|更新:2026年7月

「うちは狙われない」——そう思っていた矢先に、ランサムウェアに感染して業務が止まる。そんな事例が今、中小企業に急増しています。

長年、公的機関においてサイバー攻撃対策の業務に携わってきた立場から言えば、セキュリティ対策が手薄な中小企業こそ、大企業へのサプライチェーン攻撃の入口として意図的に狙われる時代になっています。経済産業省の資料では、「取引先がサイバー攻撃被害を受け自社にも影響が及んだ」と回答した企業が全体の約17%にのぼると公表されています。

「対策したい。でも費用が……」——この声を何度も聞いてきました。だからこそ伝えたいのです。国・東京都・各自治体が、中小企業のサイバー対策費用を補助する制度を用意しています。知っているかどうかで、数十万円〜数百万円の差がつくことも珍しくありません。

この記事では2026年に活用できる補助金・助成金を5つ厳選し、補助額・補助率・申請要件をわかりやすく整理します。


📋 目次

  1. なぜ今、サイバー対策に補助金を使うべきか
  2. 補助金①:デジタル化・AI導入補助金「セキュリティ対策推進枠」(国)
  3. 補助金②:東京都「サイバーセキュリティ対策促進助成金」
  4. 補助金③:デジタル化・AI導入補助金「通常枠」(国)
  5. 補助金④:小規模事業者持続化補助金(国)
  6. 補助金⑤:都道府県・市区町村の独自補助金
  7. 5つの補助金 比較一覧表
  8. 申請前に必ずやること:GビズIDとSECURITY ACTION
  9. まとめ

1. なぜ今、サイバー対策に補助金を使うべきか

サイバー攻撃は「大企業だけの問題」ではなくなっています。むしろ、大企業がセキュリティを強化した結果、その取引先である中小企業が”弱い輪”として集中的に狙われるようになっています。製造業の下請け、介護施設、薬局——被害は業種を問いません。

国はこうした現状を受け、中小企業のサイバー対策を後押しする補助金制度を整備しています。ただし、制度は年度ごとに内容が変わり、予算が尽きた枠から順次受付終了になります。「いつか申請しよう」では間に合わないのが実態です。


2. 補助金①:デジタル化・AI導入補助金「セキュリティ対策推進枠」(国)

項目 内容
補助額 5万円〜100万円
補助率 1/2以内
対象経費 IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載サービスの利用料(最大2年分)
対象者 全国の中小企業・小規模事業者
申請要件 GビズIDプライム取得 + SECURITY ACTION宣言(★一つ星または★★二つ星)

2026年より「IT導入補助金」から名称が変わった「デジタル化・AI導入補助金」のサイバーセキュリティ専用枠です。補助対象はIPA認定の「サイバーセキュリティお助け隊サービス」——常時監視・駆けつけ支援・簡易サイバー保険をパッケージ化した中小企業向けサービス——の利用料(最大2年分)です。

旧IT導入補助金では第1回のこの枠の採択率が100%という実績があります。採択されやすく、手続きも比較的シンプル。「まずサイバー補助金を使ってみたい」という方に最も入りやすい入口です。ただし通年公募で予算が尽きた枠から順次終了するため、早めの行動が原則。

▶ 公式:中小企業デジタル化・AI導入支援事業ポータルサイト(中小機構)


3. 補助金②:東京都「サイバーセキュリティ対策促進助成金」(令和8年度)

項目 内容
助成額 10万円〜500万円(令和8年度)
助成率 1/2以内
対象経費 UTM・FW/VPN・ウイルス対策・アクセス管理・暗号化製品等(機器・ソフトウェア)
対象者 東京都内に本店または支店を持つ中小企業(従業員100人以下または資本金5,000万円以下等)
申請要件 SECURITY ACTION ★★二つ星が必須、都内1年以上の営業実績、過去の受給歴なし

⚠️ 【2026年度から上限額が変わっています】

ネット上には「最大1,500万円」と書かれた記事が多く残っていますが、これは令和7年度以前の情報です。令和8年度(2026年度)の助成上限は500万円に変更されています。申請前は必ず公式サイトの最新募集要項でご確認ください。

東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する助成金です。最大の特徴はハードウェア(機器)も助成対象になる点。UTM(統合脅威管理装置)、ファイアウォール、不正侵入検知システム、EDR(エンドポイント検知・対応)など、物理的な設備への投資をカバーできます。サービス利用料のみが対象の①とは、ここが大きく違います。

埼玉県内の事業者でも、東京都内に支店・営業所等があれば対象になりうる点も覚えておきましょう。第2回の公募は2026年夏頃の予定です。

▶ 公式:東京都中小企業振興公社「サイバーセキュリティ対策促進助成金」


4. 補助金③:デジタル化・AI導入補助金「通常枠」(国)

項目 内容
補助額 5万円〜450万円(ITプロセス数による)
補助率 1/2(低賃金近傍の一部事業者は2/3)
対象経費 事務局登録済みITツールのソフトウェア費・クラウド利用費(最大2年分)・導入サポート費
ポイント ①セキュリティ対策推進枠との同時申請が可能

①と同じ制度の「通常枠」です。セキュリティ系を含む幅広いITツールが対象で、EDRやSIEM(セキュリティ情報イベント管理)など、より本格的なセキュリティ投資にも対応できます。最大450万円と補助規模が大きく、①と同時申請できるため、「セキュリティ対策推進枠で入口の対策、通常枠で本格対策」という組み合わせ戦略も可能です。

注意点:2022〜2025年のIT導入補助金で交付決定を受けた事業者は審査上の減点対象になります。過去の受給歴がある場合は申請前に確認を。


5. 補助金④:小規模事業者持続化補助金(国)

項目 内容
補助額 通常枠:上限50万円(賃上げ枠・後継者支援枠等は最大200万円)
補助率 2/3(①②より有利)
対象者 小規模事業者(商業・サービス業:従業員5人以下、製造業等:20人以下)
申請窓口 最寄りの商工会・商工会議所

主に販路開拓を支援する制度ですが、情報化システム整備費(セキュリティソフトウェア、クラウドサービス等)も補助対象経費に含まれます。補助率2/3は①②(1/2)より高く、商工会・商工会議所が申請をサポートしてくれるため、補助金が初めての小規模事業者に最も取り組みやすい制度の一つです。


6. 補助金⑤:都道府県・市区町村の独自補助金

国・東京都のほかに、埼玉県をはじめとする都道府県や各市区町村が独自の補助金・助成金を設けているケースがあります。サイバーセキュリティ対策費用が対象になる制度もあり、国の補助金と重複申請できる場合は自己負担をさらに圧縮できる可能性があります。

こうした地域独自の制度は情報公開のタイミングが遅く、予算が早期終了するケースも少なくありません。地元の商工会議所・商工会への定期的な問い合わせ、または各自治体の産業支援窓口サイトのチェックが重要です。


7. 5つの補助金 比較一覧表

補助金名 補助上限 補助率 主な対象者 特徴
①デジタル化・AI補助金「セキュリティ枠」 100万円 1/2 全国・中小企業 採択率高い・入りやすい
②東京都 サイバー助成金 500万円 1/2 東京都内事業者 機器(UTM等)も対象
③デジタル化・AI補助金「通常枠」 450万円 1/2〜2/3 全国・中小企業 ①と同時申請可
④小規模事業者持続化補助金 50万円 2/3 小規模事業者 補助率が高い・初心者向け
⑤自治体独自補助金 自治体による 自治体による 各自治体内事業者 ①〜④との組み合わせで自己負担減

※②は令和7年度まで上限1,500万円でしたが、令和8年度(2026年度)から500万円に変更されています。


8. 申請前に必ずやること:GビズIDとSECURITY ACTION

どの補助金を狙うにせよ、2つの事前準備を先に済ませておくことが必須です。これを知らずに動き始め、締切に間に合わなかったというケースが後を絶ちません。

① GビズIDプライムの取得(発行まで2〜3週間)

国の補助金申請に必要な電子申請用アカウントです。書類を郵送してから発行まで2〜3週間かかります。補助金の検討を始めたら何よりも先に手続きを開始してください。マイナンバーカードがあれば最短即日でのオンライン申請も可能です。

GビズID(デジタル庁)

② SECURITY ACTIONの自己宣言(IPA・無料)

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が運営する、情報セキュリティ対策への取り組みを自ら宣言する制度です。費用は無料。以下の2段階があります。

レベル 概要 主な関係補助金
★一つ星 「情報セキュリティ5か条」への取り組み宣言 デジタル化・AI導入補助金(全枠)の申請必須要件
★★二つ星 情報セキュリティ基本方針の策定・自社サイト等での公開 東京都助成金の申請必須要件・各補助金の加点対象

★★二つ星には「情報セキュリティ基本方針」の策定と公開が必要ですが、IPAがテンプレートを公開しており、初めての方でも取り組めます。「作り方がわからない」という方は、ぜひご相談ください。

SECURITY ACTION(IPA)


9. まとめ

✅ 2026年 中小企業向けサイバー対策補助金5選

  • ①セキュリティ対策推進枠(上限100万円・補助率1/2):採択率が高く最も入りやすい入口
  • ②東京都サイバーセキュリティ助成金(上限500万円・助成率1/2):機器購入も対象。★★二つ星必須
  • ③通常枠(上限450万円・補助率1/2):①との同時申請可。本格的なIT投資向け
  • ④小規模事業者持続化補助金(上限50万円・補助率2/3):小規模事業者の最初の一歩に最適
  • ⑤自治体独自補助金:①〜④と組み合わせ、さらに自己負担を圧縮できる可能性あり

⚠️ 申請で絶対に守る鉄則

  • GビズIDプライムは今すぐ取得(発行まで2〜3週間かかる)
  • SECURITY ACTION宣言を先に完了させる(申請必須要件)
  • 交付決定前の発注・支払いは補助対象外(全額自己負担になる)
  • 制度は年度・公募回ごとに変わる。必ず最新の公式情報で確認する

「どの補助金が自社に合うかわからない」「SECURITY ACTION★★二つ星の取り方を教えてほしい」「申請に向けて何から始めればいいか」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。準備の最初の一歩から、一緒に整理します。

👉 お問い合わせはこちら


参考・出典

  • 中小企業デジタル化・AI導入支援事業ポータルサイト(中小機構): https://it-shien.smrj.go.jp/
  • デジタル化・AI導入補助金2026の概要(中小企業庁 令和8年4月): PDF資料
  • 令和8年度 サイバーセキュリティ対策促進助成金(東京都中小企業振興公社): 公式ページ
  • 令和8年度 サイバーセキュリティ対策促進助成金募集(東京都): 公式発表
  • SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言(IPA): https://www.ipa.go.jp/security/security-action/

本記事は2026年6月時点の公式情報をもとに作成しています。補助金・助成金の制度内容は年度・公募回により変更になる場合があります。申請前は必ず各制度の最新の公募要領をご確認ください。

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